不貞と慰謝料

不貞行為とは「自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」(最判昭和48年11月15日)とされています。
不貞行為は法律上離婚原因(民法第770条1項1号)として挙げられており、相手方配偶者が離婚することに合意しなくても、裁判で配偶者の不貞行為を立証することがきれば、判決で離婚することができます。
不貞行為が離婚原因とされていること等からも、夫婦は貞操義務を負うとされています。
そして、配偶者が不貞をした場合には、離婚のみならず、配偶者及び不貞の相手方に対して、不法行為(民法第709条、710条)に基づく慰謝料を請求するができます。

それでは、慰謝料の算定は、どのようになされるのでしょうか。
慰謝料の請求は、財産的に見ることができるものと異なり、被害者の精神の苦痛という見えないものを扱うものです。そのため、慰謝料の請求においては、精神的苦痛をどのように金銭的評価に換算し、慰謝料の算定をしていくかという問題が生じます。
人によって受ける精神的苦痛も違えば、夫婦の婚姻生活の状況、慰謝料を支払う側の資力等によっても異なってくるため、全ての事件を同一の慰謝料額として算定することはできません。
そこで、一般的には、慰謝料額は、不貞に及んだ回数、不貞の期間、不貞に至った経緯、婚姻期間の長短、夫婦生活の状況、有責配偶者及び不貞相手の収入や資力、社会的地位、未成年の子の有無等の事情を総合的に判断して、算定されます。
また、配偶者が不貞に及んだことによって、離婚という重大な結果をもたらすことになることが多く、その場合には離婚することに伴う精神的苦痛も包含して、慰謝料を算定することとなります。

他方で、配偶者が不貞行為に及んだとしても、夫婦が離婚しない場合については、不貞行為に及んだ配偶者に対して慰謝料を請求しても、「夫婦の財布は同一」であることを考えると、あまり実益があるとはいえません。
この場合にも、別途、配偶者の不貞相手に対しては、慰謝料請求することはできますが、離婚を伴う場合と比べて、離婚に伴う精神的苦痛という要素が考慮されず、慰謝料額は低くなりがちです。

では、配偶者が不貞行為に及んだ当時、夫婦関係が完全に破綻していた場合は、慰謝料の請求をどのように考えるべきでしょうか。
配偶者が不貞行為に及ぶ場合というのは、夫婦関係も冷めている場合も多いかもしれませんが、さらに、別居期間が長期に及び、夫婦関係が破綻しているような場合には、不貞をした配偶者に対する精神的苦痛もないものと考えられるので、その場合には慰謝料の請求は認められません。
判例においても、夫である配偶者と第三者が肉体関係を持った場合において、夫との婚姻関係が既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、当該第三者は不法行為を負わないとされています。
実質的にみても、婚姻関係が破綻していて、配偶者の不貞行為によっても精神的苦痛がないにもかかわらず、配偶者が不貞をしたことを理由に慰謝料を請求できたのでは、慰謝料請求の口実を与えることになってしまいます。

これまで見てきたように、配偶者が不貞行為をし、配偶者に対して慰謝料を請求することができる場合には、不貞の相手方に過失又は故意がある限り、不貞の相手方に対しても慰謝料を請求することができます。
配偶者と不貞の相手方が二人で不貞の被害者に精神的苦痛を生じさせたことから、共同不法行為といいます。
共同不法行為の場合、二人で共同して一つの精神的損害を与えたことになるので、例えば、配偶者が一人で多額の慰謝料を支払った場合には、不貞の相手方に慰謝料を請求したとしても、請求が棄却されることがあります。
なお、配偶者の不貞相手に対する慰謝料請求は、配偶者に対する離婚の訴えを提起していれば、関連事件として裁判所に請求し、審理してもらうことができます。

不貞行為に対する慰謝料請求は、不法行為に基づくものです。したがって、時効期間は、「被害者又はその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき」(民法724条1項)とされます。
そして、夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者の第三者の同せいによる第三者に対して取得する慰謝料請求権については、一方の配偶者が右の同せい関係を知った時から、それまでの間の慰謝料請求権の消滅時効が進行するとされています(最判平成6年1月20日判夕854号98頁)。
また、夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者と第三者の同せいなどによる第三者に対して取得する慰謝料が問題となった事案で、その慰謝料請求権は、離婚が成立して初めて評価されるものであるから、その際、不法行為であること及び損害を確実に知ったこととなるものとかいするのが相当であるとして、離婚時を起算点としたものがあります(東京高判平成10年12月21日判夕1023号242頁)。

このように、不貞行為と慰謝料と一言で言っても、事案や考慮要素、当事者が置かれている状況、時効等の点も含めて様々なことが問題となってきます。

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